はじめに
FX(外国為替証拠金取引)は、通貨の値動きを利用して利益を得る金融取引です。
利益の柱は大きく分けて「為替差益(キャピタルゲイン)」と「スワップポイント(インカムゲイン)」の2つ。
この記事では、特にFXの基本となる為替差益(キャピタルゲイン)で利益を出す仕組みと、取引手法の違いを初心者向けにわかりやすく解説します。

FXの王道はキャピタルゲインです。スワップポイントについては別記事で詳しく解説します。
1. 為替差益(キャピタルゲイン)とは?
FXで最も基本的な利益の出し方は、「通貨の値動きで利益を得る」ことです。
たとえば、
- 1ドル=150円のときにドルを買い(ドル円のロング)、
- 1ドル=151円になったときに売ると、
**1円の値上がり益(キャピタルゲイン)**が得られます。
逆に、151円で買って150円で売ると1円の損失です。
このように「安く買って高く売る(または高く売って安く買い戻す)」のがFXの基本です。

例えば、上記の条件でドル円を1万通貨(1ロット)ロングしていた場合、
151円ー150円=1円×1万=1万円の利益というわけです。
2. 為替の動きを予想する2つの考え方
通貨の値動きを予想するには、大きく分けて以下の2つのアプローチがあります。
- テクニカル分析(チャート分析)
- ファンダメンタルズ分析(経済・金利分析)
それぞれの特徴を見ていきましょう。
■ テクニカル分析(チャートから未来を読む)
テクニカル分析は、過去の値動きをもとに将来の動きを予測する方法です。
チャートを使ってトレンドやパターンを読み解きます。
代表的な分析ツールには以下があります:
- 移動平均線:トレンドの方向を確認する
- RSI・MACD:買われすぎ・売られすぎを判断
- ボリンジャーバンド:価格の変動範囲を可視化
たとえば「短期線が長期線を上抜けた(ゴールデンクロス)」場合は、上昇トレンドのサインとされます。

📈 メリット:数値的に判断でき、感情に左右されにくい
⚠️ デメリット:突発的なニュースには弱い

移動平均線やボリンジャーバンドなどの有名なインジケーターは、市場参加者が注視してみているため、チャートの動きに反映されやすいです。
ちなみにEA(自動売買ソフト)は基本的には色々なインジケーターでチャートがある一定の形になった時に自動的に売買を行うものとなります。
■ ファンダメンタルズ分析(経済の流れから判断)
ファンダメンタルズ分析とは、国の経済状況や金利、政治情勢などの「基礎的な要因(ファンダメンタル)」をもとに、通貨の価値を分析する方法です。
通貨の強さ・弱さは、その国の「経済の健全さ」に大きく左右されます。
つまり、経済が好調で金利が高い国の通貨ほど買われやすく、逆に不景気で金利が低い国の通貨は売られやすいという傾向があります。
🔍 具体的な指標の例
| 分析対象 | 内容 | 為替への影響の傾向 |
|---|---|---|
| 政策金利 | 各国の中央銀行が定める金利 | 金利が上がるとその通貨が買われやすい(高金利通貨は魅力的) |
| GDP(国内総生産) | 経済全体の成長度合い | 上昇すれば通貨高要因、低下すれば通貨安要因 |
| インフレ率(CPIなど) | 物価上昇の指標 | 高すぎると金利引き上げが意識され通貨高になる傾向 |
| 雇用統計(特に米国) | 経済活動の基礎データ | 良好なら景気拡大期待で通貨高、悪化なら通貨安 |
| 貿易収支・経常収支 | 輸出入や海外との資金の流れ | 黒字なら通貨高、赤字なら通貨安につながることが多い |
🧭 ファンダメンタルズの考え方(イメージ例)
たとえば…
- アメリカの金利が上がる
→ ドルを持つと利息が多くもらえる
→ 世界中の投資家がドルを買う
→ ドル高(円安)になりやすい - 日本の景気が悪化して日銀が金融緩和を続ける
→ 金利が低い状態が続く
→ 円を売って他通貨に資金を移す動き
→ 円安要因
📊 メリットとデメリット
メリット:
- 経済の「大きな流れ」をつかめる
- 長期トレンド(数か月~数年単位)を予測しやすい
- 指標発表前後の値動きにも対応しやすくなる
デメリット:
- 短期的な値動きには向かない(デイトレードやスキャルピングでは不向き)
- 経済指標の結果が「市場予想と違う方向」に動くこともあり、分析が難しい
- 政治リスクや地政学リスク(戦争・災害など)は予測困難

ファンダメンタルズ分析は、長期目線が重要となります。数か月から数年と長い期間保有する覚悟が必要です。
3. 為替差益を得る主なトレード手法
FXには、保有期間の長さによっていくつかの代表的なスタイルがあります。
自分のライフスタイルや性格に合った方法を選ぶことが大切です。
🕐 スキャルピング(超短期取引)
取引時間:数秒~数分|狙う値幅:数pips(0.1円未満)
短時間で売買を繰り返し、小さな利益を積み上げていく手法です。
市場が活発に動く時間帯(例:ロンドン・NY時間)に取引することが多いです。
- 損切りが早く、集中力が必要
- 取引回数が多く、スプレッド(手数料)の影響を受けやすい
⚠️ 初心者には少しハードルが高め。慣れてから挑戦しましょう。

初心者にはおすすめできません。よく動く時間帯とは日本で言うと夜中にあたります。昼夜逆転生活を覚悟しなければなりません。
専業トレーダーならまだしも、仕事のある人には厳しいでしょう。
⏰ デイトレード(1日完結型)
取引時間:数時間~1日|狙う値幅:数十pips(0.3~1円程度)
その日のうちに売買を完結する手法です。
ニュースや経済指標による短期的な値動きを狙います。
- 翌日に持ち越さないのでリスクが限定的
- チャート分析を活用しやすい
- 初心者でも比較的取り組みやすい

スキャルピングほどではないですが、1日で完結するということはチャートに張り付く必要があります。専業トレーダー向けとなります。
📅 スイングトレード(中期型)
取引期間:数日~数週間|狙う値幅:数百pips(数円程度)
トレンドに乗って中期的に利益を狙うスタイルです。
日々の値動きに振り回されにくく、サラリーマンにも人気があります。
- トレンド分析が中心
- スワップポイントも受け取れる
- 忙しい人にも向いている

このあたりからは、仕事のあるサラリーマンでも取組み可能です。必ず勝てるというわけではありませんが、しっかりとした戦略を組めば勝てるようになります。
💹 ポジショントレード(長期保有型)
取引期間:数週間~数か月以上|狙う値幅:数円~十数円
長期的な円安・円高のトレンドを予想してポジションを保有する方法です。
経済の流れや金利差を読みながら、じっくりと利益を育てます。
- 為替差益+スワップのダブル利益も可能
- 短期の変動に一喜一憂しない
- ファンダメンタルズ分析が重要

私が取り組んでいるスワップ戦略はまさにこれです。ファンダメンタルは気にしていません。1日に一回程度、確認して後はほったらかしです。
大勝ちをすることはあまりないですが、負けにくくおすすめです。
💬 トレード手法の比較表
| 手法 | 保有期間 | 狙う値幅 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| スキャルピング | 数秒〜数分 | 数pips | 集中力があり短期勝負が得意な人 |
| デイトレード | 数時間〜1日 | 数十pips | 毎日相場を見られる人 |
| スイング | 数日〜数週間 | 数百pips | 兼業・忙しい人 |
| ポジション | 数週間〜数か月 | 数円〜十数円 | 長期視点でじっくり運用したい人 |
4. まとめ
FXの為替差益は、最も基本的で理解しやすい利益の出し方です。
ただし、どの方向に相場が動くかを見極める力が必要になります。
テクニカルとファンダメンタルズ、そして自分に合った取引スタイルを理解すれば、
リスクを抑えながら着実にトレードスキルを磨くことができるでしょう。
次は私が実践している「ポジショントレード」について詳しく解説していきたいと思います。





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